2026年(令和8年分)の年末調整|会社がやることと、今年変わる4つのポイント
11月に入ると、そろそろ気になってくるのが年末調整ですよね。
「毎年やっているけど、今年は何か変わるの?」──そう感じている経営者やご担当者の方も多いのではないでしょうか。
結論からお伝えすると、令和8年分の年末調整には、ここ数年の中でも大きめの改正が入っています。基礎控除が引き上げられ、税金の扶養に入れられる年収の目安も変わりました。
この記事では、会社がやることの流れと、今年の変更点を順番に整理します。
そもそも年末調整とは
毎月の給与から引いている所得税は、あくまで「見込み」の金額です。
1年間の給与が確定する年末に、扶養や保険料などの控除を反映して正しい税額を計算し直し、引きすぎていれば返し、足りなければ追加で引く──これが年末調整です。
会社がやることとスケジュール
11月:従業員に申告書を配って、回収する
・扶養控除等(異動)申告書
・基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼特定親族特別控除申告書兼所得金額調整控除申告書
・保険料控除申告書
・住宅借入金等特別控除申告書(住宅ローン控除を受ける人)
来年(令和9年分)の扶養控除等申告書も、このとき一緒に配って回収しておくと手間が省けます。
12月:その年最後の給与で、1年分の税額を計算して精算する
令和9年1月12日(火):精算後の源泉所得税を納付する
納期の特例を受けている会社は、1月20日(水)です。
令和9年2月1日(月):源泉徴収票の交付と、給与支払報告書の提出
源泉徴収票を従業員に交付し、給与支払報告書(総括表とあわせて)を従業員の住所地の市区町村へ提出します。
令和9年1月からは、市区町村に給与支払報告書を出せば、税務署へ源泉徴収票を出したものとみなされるようになります。
今年変わる4つのポイント
これらの改正は、原則として令和8年12月1日に施行され、令和8年分(今年1年分)の所得税から適用されます。
① 基礎控除の引上げ
所得に応じて、基礎控除が次のように上がりました(令和8・9年分)。
・合計所得金額489万円以下(給与だけなら年収665万5,556円以下)
→ 104万円(改正前は所得に応じて95万円・88万円・68万円)
・489万円超655万円以下 → 67万円(改正前63万円)
・655万円超2,350万円以下 → 62万円(改正前58万円)
② 給与所得控除の最低保障額の引上げ
給与所得控除の最低額が、65万円から74万円に上がりました。
①と合わせると、給与だけの人は、ほかの控除を考えなくても年収178万円までは所得税がかからない計算になります。
ニュースで見かける「178万円の壁」は、この数字のことなんですね。
③ 税金の扶養に入れられる年収の目安が上がった
給与だけの場合の年収の目安は、次のとおりです。
なお、これは所得税の扶養の話です。社会保険(健康保険)の扶養の基準は、今回の改正では変わっていません。ここは混同しやすいので気をつけてくださいね。
・扶養親族・同一生計配偶者:136万円以下(改正前123万円以下)
・特定親族(19歳以上23歳未満):136万円超197万円以下(改正前123万円超188万円以下)
・配偶者特別控除の対象になる配偶者:136万円超207万円以下(改正前123万円超201万5,999円以下)
・勤労学生:163万円以下(改正前150万円以下)
ここで注意したいのが、「今年から新しく扶養の対象になる人」がいるケースです。
たとえば、アルバイトで年収123万円を超え136万円以下だったお子さんや親御さん。去年の基準では対象外でも、今年は扶養親族になるかもしれません。
その場合は、扶養控除等(異動)申告書を出し直してもらう必要があります。申告書を配るときに、ひと言添えておくと安心ですね。
④ 23歳未満の扶養親族がいる人の生命保険料控除
23歳未満の扶養親族がいる人は、一般生命保険料控除の上限が4万円から6万円に上がりました(令和8・9年分)。
保険料控除申告書を書くときに関わってくる部分です。
11月までの毎月の給与はどうなる?
ここは混乱しやすいところですが、11月までの毎月の源泉徴収は、これまでどおりで変更はありません。
改正後の基礎控除などは12月の年末調整でまとめて反映され、1年分の税額をそこで精算します。
控除が増える改正なので、年末調整で戻ってくる額が例年より多くなる方もいるはずです。
さいごに
年末調整は、従業員の方にとっては「年に一度、お金が戻ってくるかもしれない手続き」。会社にとっては、申告書の回収から精算まで手間のかかる年末の大仕事です。
今年は改正が多いぶん、従業員の方からの質問も増えるかもしれません。
私は社労士として、またFP1級として「人」と「お金」の両面から会社を支えたいと考えています。
毎月の給与計算を見直したい、任せたいという方は、どうぞお気軽にご相談ください。
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※年税額の計算や控除の可否など税務の判断については、顧問の税理士さんにご確認ください。
※出典:国税庁「令和8年分 年末調整のしかた」
