なぜ今、企業型確定拠出年金(DC)なの?

中小企業でも注目が高まるDC制度の背景
近年、企業型確定拠出年金(以下、DC)に対して中小企業からも注目が集まってきています。企業型確定拠出年金(DC)の導入は、大企業を中心に進んできておりましたが、従業員300人未満の会社でも、全体の約4割がすでにDCを取り入れているというデータもあります。
背景には、社会の変化と、従業員・会社のどちらにとっても“得”が多いという現実に多くの方が、気が付いてきているからだと思います。
以前は「老後は国の年金で何とかなる」と考えていた方も多かったかもしれません。しかし、今は、2025年時点で日本人の3人に1人が75歳以上。さらに2050年には、もっと進むと言われています。制度の改正も頻繁で、年金の繰り下げ受給は75歳までOKになり、遺族年金も今後は改悪の方向で動き出してきています。将来が見えにくくなっていますよね。
だからこそ、国も「自分で備えてください」という流れを強く打ち出していて、iDeCoやNISAがどんどん使いやすくなってきました。その中で、DCは「会社が従業員のために準備できる」制度として、かなり注目されています。
人材確保と定着の武器としてのDC活用
そして企業側の視点。中小企業にとっての悩みの種は「人材の確保と定着」じゃないでしょうか?1年求人かけたのに、誰も来ないなんておそろしい話を耳にしたことがあります。やり方次第とはいえ、少子高齢化の時代は、明らかに売り手市場。給与水準や福利厚生で大手企業には勝てない……という声もよく聞きます。そこで、DCです。DCを導入して「この会社は将来のことまで考えてくれている」と伝えることができれば、それだけでも印象は大きく変わる可能性は大いにあります。
実際、DCは従業員の給与に上乗せして会社が積み立てをするもの。つまり、目に見えない報酬があるということです。将来の安心感はもちろん、税制面でもかなりメリットが大きい。会社が出す掛金は損金扱いにでき、従業員も課税されずに積立できて、運用益も非課税。60歳以降の受け取り時も税優遇があります。
経営者自身にも大きなメリット
また、この制度は経営者自身も対象です。つまり、自分の退職金の準備としても使える。法人オーナーや一人社長にとっても、節税と資産形成を兼ねた非常に有効な手段になります。
しかも2022年の制度改正で、iDeCoとの併用がしやすくなり、小さな会社でも導入しやすい環境が整ってきました。スマホでの資産管理もできて、昔と違ってぐっと身近になっています。
DCは、会社の未来をつくる制度です。従業員の安心と信頼、そして経営者自身の備えとしても大きな力になる──。これから導入を考えている方にとっては、「コスト以上の価値がある」と感じていただけるのではないでしょうか。